あ_お_ぞ_ら #4

2012年からのブログ2つを、合体・移転しました。

ランクルのホイールベース

はたらく車 ランクル70系の話です。

ざっと3種類に分類されるトヨタランドクルーザー

Heavy Duty(70,40,20...),

Station Wagon(200,100,80...),

Light Duty(150,120,90...)

このうち、Heavy Dutyのに何種類か存在するホイールベースの長短が、どんな経緯を辿って増えたり減ったりしてきたかを、ささっと調べて、そのあといつも通りあれこれグヂグヂと考えてみました。

源流はトヨタジープ。目指したのは道じゃないような所を走れる車...

という訳で、ちっちゃめの車体に短めのホイールベース...まんまジープみたいな車、

警察予備隊向けのジープ対抗の車ですから当然と言えば当然ですが、そんな車として誕生。

で、警察予備隊向けには採用されず、1955年の20系で民間向けに仕立て直すにあたって、ホイールベースは2種類、末期には長いのが増えて3種類用意されました。

民間向けなんでどんな使われ方するだろう?と思いながら、普通のとちょっと長いのを用意しといたら、もっと長いのも作れよ、って事だったんでしょうね。

(何つったって車は、ちょっと大きくて、ドア枚数が多い方が、一般的には便利なんですから)

1960年の40系も、それを引き継いで

ショート2285mm、ミドル2430mm、ロング2650mmの3種類でスタート。

後にピックアップとキャブ&シャシー用に2950mmが追加。

ロングは途中から分岐してStation Wagonのご先祖55になりその後60に、さらに80、100、200...と移ってってます。

70系は、40系からロングを引いて残った3種類(ショート、ミドル、ロング、ピックアップとキャブ&シャシー用)を基本的には引き継いだ、って事ですね。

ということで、70系にはホイールベースが3種類...かと思うと、5種類あるんだそうです。

(...ということが

トヨタ自動車75年史を読むと、中に書いてあります。)

ショート

ミドル

ロングはStation Wagonに引き継いでるので、これはセミロングって呼び名

ホイールベースが一番長い、ピックアップとキャブ&シャシー用にあたるタイプのうち

これはTroop Carrier, Troopyなんて呼ばれているもの。

4つじゃないの?

と思いましたが、

元はTroopyもピックアップも同じホイールベースだったのが、後にピックアップ用はもっと延長されたんだった筈。

ていう感じで、5種類ですね。

道なき道を行くには、ホイールベースは短めが使いやすい、ってことで、

ナナマル、ひいてはランクルのルーツはそこだった筈、ではありますが、

これもショートとミドル

でも、道なき道(ほぼ道じゃない)を行くために、というよりも、

悪路(一応は道)を、より多くの荷物を運ぶニーズに応えて巨大化してってるのかな...とも思えますね。

それでふと考えた。

いま、世界のどこかで新車で買えるナナマルって、小っちゃいのと大っきいの、どっちが本流なんだろう?

ていうか、多分本流は大っきいので、ショートとかミドルとかって今でもちゃんと売られてるんだろうか???

5~6年前に日本で1年間限定で復活した時のは、日本ではなじみのあるセミロングと、初めて見るロングホイールベースのダブルキャブのトラックでした。

また、Troopyは、今どきの角目の顔のを最近でもごくたまに見かけるので、デカい方のはきっと健在なんだろう、と。

調べてみると、

まずは、販売台数累計1000万台記念サイト

2007年以降の項目に、ミディアムホイールベースが廃止されてセミロングホイールベースが追加、と書いてありました。

そうか、ミドルはなくなっちゃってるのね。

で、セミロングが追加...

(ちょっと大きくてドア枚数多い方便利って??)

そういえば昔日本にあったセミロングは当時日本専用だったと聞いた気がうっすら。

世界的にセミロングが追加されたのはこのタイミングという事か...

あ、ダブルキャブピックアップの追加も2012年になってからなのね...

え?じゃあ1年限定日本再販ナナマルは、2種類とも世界的にはもっとも最近ラインナップに加わった2台だった、っちゅうことね?

で、結局今ってどの国でどのホイールベースのを売ってんのよ??

...ググってもそんな一覧なんか出てこないんですね。

一人ぐらいコアなファンの方が居て纏めてらっしゃったりするんじゃないかなと淡い期待はあったんですが、結局見つけられず。

なのでナナマルを売ってそうな国のトヨタのサイトをいくつか探して回ってみました。

といっても、本当に思い付きの当てずっぽうでググってみただけ。

そもそもどこで売ってんのよ?ていうかランクル自体の、いやトヨタの販売網って世界のどのくらい果てまで出来てんのよ?

まず、昔っからTroopyを売ってたオーストラリア

WAGON

TROOP CARRIER

ダブルキャブ

シングルキャブ

ここまで。

予想通り。というか、昔っからショート、ミドルなんかこの国には無かった気がする。

ケニア

無さそう。

オーストラリアと同じ品揃え。

ひょっとして、ミドルだけでなくて、ショートも今は絶版になってるんだろうか?

一応、さっきの1000万台サイトには

角目のショートの写真があったんだけども...

で、巡り巡って

アラブ首長国連邦のサイトで見つけました。

ラインナップは、この通り、トラック2種と、ショートのみ。

この国では、200もプラドもハイラックスも、FJクルーザーだってまだ売ってる。

Fortunerなんていう、初めて聞く名前の車もある。(何か見た目だとサーフっぽい。)

品揃え豊富な国ですけど、

70は、トラック2種と、ショートだけ。

四駆の品揃え豊富な国だからこそ、70ショートまで売ってるとも言えるかもしれませんが

だったら、はたらくくるま感満載なTroopyだってあっても良さそうなんだけどな。

ともかく、ようやく見つけた、ショートを今でも売ってる国。

ショートはちゃんとありました。

アレですかね、ここでは日本でのキャリィとジムニーみたいな感覚で、ナナマルのピックとショートが使われてるですかね。

(ショートが小っちゃいったってランクルは重たいからなぁ...)

...あ、ホイールベースの話でした。

ショートは一応残っていました。

大荷物は諦めるからとにかく車を使って道とは言えないような所でもなんとか通って辿り着くために使いたい、って用途で求めてる人は、今でも居るって事なんでしょう。

でもそんな用途メインだと思えるショート、ミドルのうち、ミドルは廃止されてる。

用途自体は無くなってないけど需要は減ってるからショートだけに絞りました、って事か?

そうだとすると、ここ何十年間毎月続けて1,000台くらいが売れていた、新型が出る前までのフツーの人は買わなかった日本国内のジムニーと似たような匂いがする気がします。

バンバン数は売れないけど無くすほどの需要の無さではなく、このまま置いとくだけで一定数売れるなら残しとくのはアリ...みたいな。でもミドルは落としてもいいかな?って思える状態だったんでしょうね。

実際の年間や月間の販売数も分からず、ホイールベース別の資料なんかも当然無く、そもそもどの国で売ってるのかの情報も未入手なので、ただの想像・妄想でしかないんですけど。

実際の所、どうなんですかね。

いま、ナナマルって、順調に売れてるのかな?ジリ貧になってんじゃないだろうか?

欲しい人ってどんな人?誰が買ってるんだろう?

で、これを新車で買う人って、どんな人なんだろう?

どのモデルをどんな人や会社や機関が買ってるんだろう?

ランクルじゃなきゃダメ、って思ってる人が居る国や地域は多分世界のあちこちにあって裾野も広いんじゃないかって思いますけど、メーカーは最初に(新車で)買ってくれる人がいないと市場に供給できない(生産できない)ですもんね。

経済の下流に流れ着いてった先の最後の最後の死に際まで考えた物造りをしたとしても、最初に買ってくれる人がそれを認めてくれないことには世の中に出て行かないので。

CASE対応とかしながら、そんなことまで考えれるのかな??

きっと今まで、今後のプランをいろいろ考えてはいたでしょうけど、今の世の中その通りできるか相当怪しくなってるかも。

当面は、そのまま維持していけるだけ続けていさえすればいいんでしょうけど、

維持するために、何か新しい事始めなきゃ、だと、今は大変だぞきっと。

ホイールベース長について考えるつもりだったんですが、

結局CASE対応の事にぶち当たると自分の考えがまとまらなくなってしまいます。

どこのメーカーもきっと今はフツーのクルマをどうしよう?って考えるのに一生懸命ですもんねぇ。

普通じゃない車の今後なんて、フツーのクルマがある程度どうなりそうか見えてからでないと考えようもないんじゃないの?と思っちゃいます。結局は。